
スキーツアーに強みを持つビッグホリデー株式会社様にとって、冬は需要が集中する大切なシーズンです。
ただ、ユーザーは比較から予約までの動きが速く、タイミングを逃すと機会損失につながりかねません。
そこで同社は、AIQUAによるレコメンド施策と、BotBonnieを活用したLINE施策を組み合わせたマーケティングに取り組みました。その結果、レコメンド施策では目標比118%の成果を記録しています。
今回は、その背景にあった課題や施策の設計、現場での試行錯誤について、企画旅行事業部部長の岩崎様と販促グループの佐藤様に話を伺いました。

― まず、御社の事業内容について教えてください。
岩崎:当社は、国内外の旅行商品を取り扱う総合旅行会社です。パッケージツアーの企画・販売を中心に、幅広い旅行ニーズに応えています。中でもスキーツアーは長年にわたり強みとしてきた領域であり、毎年多くのお客様に利用されています。
特にスキーツアーは、「どのゲレンデを選ぶか」「どの時間帯のバスに乗るか」「レンタルやリフト券をどう組み合わせるか」など、複数の要素を組み合わせて商品が成り立っています。そのため、単なる価格比較だけではなく、利便性や体験価値も含めて選ばれる点が特徴です。
― 販促グループはどのような役割を担っていますか。
佐藤:販促グループでは、単なる集客ではなく「売上につながるマーケティング」を重視しています。広告やLINE、メールといった各チャネルの運用だけでなく、それらをどう組み合わせて成果につなげるかという全体設計を担っています。
― お二人の担当業務について教えてください。
岩崎:私は販売促進の実務というより、企画旅行全体を見ながら、会社として足りない機能を横断的に担う立場です。ツアーの仕入れや商品設計とマーケティングを分けるのではなく、一体で設計することを重視しており、デジタルマーケティングやAI活用も含めて全体を統括しています。
佐藤:私は、個人旅行のWeb販売チャネルにおける各施策の設計や運用、数値の分析を担当しています。売上目標の達成を見据えながら、LINEやメルマガなどを活用し、改善を回していく役割です。仮説を立てて試し、結果を見て次の施策に活かす。そのサイクルを日々回しています。
― これまでのマーケティング施策について教えてください。
佐藤:もともとは紙のパンフレットを中心とした集客が主流で、旅行代理店での配布を通じてお客様に情報を届けていました。ただ、コロナ禍をきっかけに対面での接点が減少し、パンフレットに頼った集客が難しくなりました。
そのため、Webサイト、メール、LINEといったデジタルチャネルに本格的に注力するようになりました。ただ、各チャネルはそれぞれ個別に運用されており、ユーザーの行動データを横断的に活かすことができていませんでした。限られた人数で複数のチャネルを運用していく中で、効率的に成果につなげる難しさも感じていました。
― 具体的にはどのような課題があったのでしょうか。
佐藤:例えば、Webサイトでスキーツアーを閲覧したユーザーに対して、その後どのようなアプローチをするかといった設計が弱かったです。興味を持っているユーザーがいるにもかかわらず、その熱量が高いうちに適切なアクションを取れていませんでした。メールについても、一斉配信が中心で、ユーザーごとに最適化された内容やタイミングでの配信はできていませんでした。
岩崎:チャネル自体は揃っているのに、それぞれが分断されている状態でした。結果として、「誰に・いつ・何を届けるか」という基本的な設計が曖昧になり、マーケティングの精度が上がりきらないというジレンマを感じていました。
佐藤:今振り返ると、「やってはいるけど、つながっていない」という状態でした。そこに大きな改善余地があったと感じています。

― 今回、AIQUAのレコメンド施策に取り組んだ背景を教えてください。
岩崎:スキー場は非常に数が多く、ユーザーが一つひとつを細かく比較して選んでいるとは限りません。同じスキー場を繰り返し選ぶ方も多いのですが、それも本当に最適な選択というより、「他と比べるのが難しいから前に行った場所を選んでいる」という面があるのではないかと感じていました。だからこそ、画一的な情報を届けるのではなく、「あなたにはこれがおすすめです」と示せる仕組みが必要でした。AIQUAには、そうしたレコメンドを自動で最適化できる機能があり、強く興味を持ちました。
― 具体的な施策内容を教えてください。
佐藤:Webサイトのトップ画像の下に「あなたへのおすすめ」を表示したほか、ポップアップでもレコメンドを出しました。さらに、スキーツアーのページを閲覧したユーザーに対して、約1時間後にレコメンドメールを送る施策も実施しています。閲覧した内容をもとに、興味関心に近い商品を自動で提案する形です。ポイントは「タイミング」です。すぐではなく、かといって遅すぎない。ユーザーの検討が続いているタイミングを狙うことで、自然に意思決定を後押しできるようにしました。
― 成果についてはいかがでしたか。
佐藤:レコメンド施策については、当初の想定を上回る結果が出ました。レコメンド経由の売上は、目標に対して118%の成果となり、手応えを感じています。単純にレコメンドを出すだけでなく、「いつ出すか」というタイミングの設計によって結果が大きく変わることを実感しました。また、ユーザーごとに興味のある商品が異なるため、一斉配信ではなく個別最適化が効いたことも大きかったと感じています。
― Appierのサポートについてはいかがでしたか。
佐藤:Appierの担当者の方には、手厚く伴走していただけたと感じています。こちらから相談した内容に対して、「こういう方法もありますよ」と具体的に提案いただくことが多く、自分たちだけでは思いつかなかった施策にも取り組めました。実装や設定の部分も含めて支えていただけたので、限られたリソースの中でも施策を進めやすかったです。ツールの提供だけだったら、ここまで使いこなせていなかったと思います。
岩崎:Appierさんの良さは、ツールの機能面だけではなく、「どういう考え方で施策を組み立てるか」という部分まで一緒に考えてもらえたことだと思います。我々だけで進めていたら、ここまでのスピード感で成果を出すことはできなかったと思います。

― 今回、BotBonnieを活用したLINE施策を強化した背景を教えてください。
佐藤:スキーツアーはリピーターが多い商材でもあります。本来であれば、継続的に関係を築くための会員組織のような仕組みを持てるのが理想でしたが、新たに立ち上げるとなると難易度が高い。そこで、既存のLINEを会員組織のように活用しながら、継続的な接点をつくる施策ができないかと考えました。LINEは以前から活用していましたが、接点を持った後の「関係性の構築」という部分が弱かったと感じています。
― その課題に対して、どのような施策を設計したのでしょうか。
佐藤:LINE公式アカウント内で、ポイント施策を実施しました。ゲレンデ診断やクイズ、予約完了後のポイント獲得、旅行後アンケートなど、購入前から購入後、現地、帰宅後までの各アクションでポイントが貯まる仕組みです。Webサイトやオフラインも含めた複数の接点でポイントを貯められる設計にしたことで、継続的な参加につなげやすくなりました。貯まったポイントでLINE内でルーレットを回すと、ツアーの割引クーポンが当たる仕組みにしており、ユーザーにとってもメリットを感じやすい設計になっていたと思っています。
― 今回のポイント施策では、どのような成果がありましたか。
岩崎:LINEを起点とした流入は大きく伸びました。LINE経由のWebサイト訪問数は前年比で約2倍となりました。LINE流入によるCVは約3倍、CVRも約1.5倍となっており、施策の効果を数字でも実感しています。単に友だち数を増やすだけでなく、実際の予約行動につながった点は大きかったですね。
佐藤:アンケート施策も組み合わせたことで、ユーザーの声を取得できるようになった点も大きかったです。以前よりも回答数が増え、ポジティブな意見をいただく機会も増えました。そうした声が現場のモチベーションにもつながっていますし、関連部署に共有してサービス改善に活かす動きも生まれています。

― 今回の取り組みを通じて、どのような変化を感じていますか。
岩崎:今回の取り組みで最も大きく変わったのは、マーケティングの流れです。旅行商品は基本的に年に1回の利用になりやすく、シーズンが終わるとビッグホリデーの名前そのものを忘れられてしまう可能性もあります。そこで、LINE施策によってユーザーとの接点をつくり、継続的に関係性を築けるようになったことは大きかったですね。
その上で、サイト上の行動データをもとに、AIによって最適なタイミングでレコメンドを行う。これまで分断されていた施策が一つにつながり、「関係構築」と「コンバージョン獲得」が連動するようになりました。
佐藤:大きな変化は、ユーザーごとの興味関心や行動を、点ではなく流れで見られるようになったことです。LINE上のどの案内をきっかけにWebサイトへ来て、最終的にどの商品を予約したのかまで追いやすくなりました。以前はチャネルごとに施策を考えていましたが、今はユーザー単位で見ながら次の打ち手を考えられるようになっています。感覚ではなく、データに基づいて改善できるようになったのは大きな変化です。
スキーツアーという短期決戦の商材において、タイミングと最適化を徹底する。その取り組みを来期以降もさらに強化していきたいと考えています。