青山商事様 - スーツスクエア

顧客起点の追求とAIの活用で事業を加速させるスーツスクエアのEC戦略

青山商事株式会社様が展開するビジネスウェアの複合型ストア「スーツスクエア(SUIT SQUARE)」は、2023年に現在の屋号へ変更し、ECとリアルを融合させたOMO型店舗として、革新的なサービスを提供しています。オフィスカジュアルからオーダースーツまで幅広い商品ラインナップで、あらゆる年代の顧客に最新のショッピング体験をもたらします。今回は、ECサイトを担当されている、TSC営業部で販促グループ長を務める新妻様とECコンテンツデザイングループ長を務める斎藤様にお時間をいただき、スーツスクエアの変革期にECサイトを成長させたメソッドについてお話を伺いました。

(左から斎藤様、新妻様)

 スーツスクエアの新たな挑戦

― お二人の部内における役割を教えてください。

新妻 元々はプロモーション全般を担当していました。タレントを起用したプロモーション、交通広告やWeb広告、店舗の演出など多岐にわたります。現在は、サイト内でのユーザーの動きなどを分析しています。

斎藤 私はECの分析業務などを担当しています。具体的には、顧客や商品の分析を行い、それに基づいた施策を立案しています。

― スーツスクエアの特徴を教えて頂けますか。

新妻 様々なサービスによりECサイトと店舗の相互送客を実現しています。いわゆるOMO型店舗です。例えば、試着サービス「TAP&FIT」では、ECサイトで気になった商品を店頭で試着できます。また、「DIGI-lab」では、店頭で選んだ商品をECサイトで購入し、手ぶらで帰ることができます。こうして、オンラインとオフラインの相乗効果によりサービスの質を高め、既存顧客の満足度向上を図ると同時に、新しい顧客を獲得するための取り組みも積極的に行っています。

― 2023年にスーツスクエアを誕生させた背景を教えてください。

新妻 コロナの影響で働き方が変わり、スーツを着る機会が減少しました。このマインドセットの変化に対応するため、弊社では新たなビジネスモデルの開発が必要になりました。元々4ブランドを展開していたため、一つの店舗でカジュアルからスーツまで幅広い洋服を揃えるようにし、またファンクショナルなものやオーダーメイドなど、それぞれの用途や機能にも対応できる空間作りを目指しました。

― コロナ禍でスーツの需要が減少し、店舗販売の重要性が低下したのでしょうか。

新妻 そんなことはありません。たしかに、フォーマルなスーツの需要は減少していますが、オーダースーツの需要は増加しています。「オーダースーツは高品質だけど高額」というイメージは昔のものになりつつあり、今ではリーズナブルな価格で高品質なスーツを作れるようになりました。採寸や接客などで店舗が果たす役割はこれからも重要です。

― ECと店舗でお客様を取り合うジレンマのようなものは無かったのでしょうか。

新妻 ジレンマはありません。お店のスタッフは目の前のお客様にその場で購入してほしいという気持ちがあるかもしれませんが、ユーザー視点に立つとどちらで購入しても良いはずです。OMO型店舗に移行した時から、ユーザー視点で物事を考えるよう、社内で啓蒙活動を進めました。

ユーザー視点に基づくECサイト設計

― ECサイトはどのようなコンセプトでデザインしていますか。

新妻 私たちは、ユーザー視点を最重要視しています。店舗もECサイトも、単なる商品購入の場としてよりも、まず情報提供の場であることを意識しています。ECサイトは24時間アクセス可能ですので、お客様が求めている情報をいつでも適切に提供できることが大切です。例えば、ポップアップバナーを活用してそのユーザーが必要としているコンテンツへ適切に誘導するなど、ユーザー視点を徹底的に追求することが、サイト運用において最も重要だと考えています。

― ユーザー視点をテーマに置いた時、KPIはどのように設定していますか。

新妻 細かく設定していますが、ユーザーの行動や反応に関する細かな指標を複数設定していますが、ユーザー視点の表れとして評価するのに適切なのはやはり最終的なコンバージョン、また再来店率と考え、重要なKPIとして設定しています。さまざまな取り組みや改善を施してみて、それが売上やコンバージョンに具体的にどのような変化をもたらしているかを常に確認するようにしています。

斎藤 店舗では接客ができる分、ECと比べると単価が高くなります。そのため、いかにECの単価を店舗の単価に近づけていくかは課題です。そのためにも、店舗の接客に近づける必要あり、ECでどれだけ情報を伝えられるかは重要な取り組みとなります。なお、店舗とECの併用顧客ほど購買額が高くなることから、その併用を促進できているかも指標として重視しています。


― スーツという購入頻度がそれほど高くない商品特性を踏まえたユーザーとのコミュニケーション手法について具体例を教えてください。

新妻 お客様との接点を失わないように紙のDMを送っています。それから、年度が変わるタイミングでポイント失効を通知し、購入のきっかけを与えます。また、スーツの洗い方などの情報提供を行うことで、購買を直接促すのではなく、有益な情報を提供しながら顧客との関係を継続的に築いています。

― SNSやLINEなどを活用したプロモーションへの取り組み状況はいかがですか。

斎藤 以前からメールマガジンの配信は行っていましたが、SNSはインスタ以外あまり運用できていませんでした。しかし、若い層へのリーチが課題となっているため、今後は積極的にSNSを活用していく必要があると考えています。

新妻 Facebookのメインユーザー層は何歳であるとか、X(旧Twitter)は拡散目的に適しているとか、各SNSには特性があります。そうした特性を考慮した運用を行いたいのですが、これまでは十分にはできていませんでした。ただ今後は、媒体特性の考慮はもちろんですが、さらに実際にユーザーに届けた情報への反応を見ながら、より反応の高い情報、つまり求められている情報を提供していけるように活用していきたいと考えています。

AIで実現する効果的な顧客アプローチ

ー 2023年にAppierのサービス(ポップアップ機能)を導入いただきました。それ以前にはどのような課題がありましたか。

新妻 今後、事業全体の売上を伸ばすためには、ECの成長が不可欠であるという結論に至りました。そのため、従来のメンバーズ会員様へのアプローチに加えて、会員以外のお客様にもリーチを拡げることで、さらなる成長を目指す戦略を検討していました。

斎藤 当時もECサイトでポップアップ機能を使っていましたが、全員に同じポップアップバナーを表示させることしかできず効果は限定的でした。また、ポップアップを設定するたびにベンダーへ依頼しなければならないため、スピードの遅さも課題でした。

ー Appierを導入する決め手は何でしたか。

新妻 購入を迷っている訪問者をAIがランク分けし、訪問者ごとに適切なポップアップバナーを表示させるAppierの機能を活用することで、購入を後押しするだけでなく、ECサイト内の多くの情報の中からお客様が見たい情報へと誘導することができると考えました。ECサイトの接客レベルを向上させられます。これが大きな課題解決になると判断し、導入を決めました。

斎藤 Appierの機能はノーコードです。タグを設置するだけなので、自分たちだけでも運用することができます。そうしたスピード感も魅力でした。

ー 近年、AIが注目を集めています。AIの活用についてどうお考えですか。

新妻 ChatGPTをはじめとする生成AIが登場し、AIの重要性がますます高まっています。AIの制限をどのように設定するかはまだ明確ではありませんが、もはやAI無しでは考えられない時代になっています。EC事業において、きめ細かな接客を実現するためには同時に効率性も考えなければならず、人間が24時対応するのは不可能ですから、AIの活用は不可欠だと考えています。

Appierで加速するデジタルマーケティングの未来

ー Appierを1年ほどご利用いただきました。導入効果をどう評価していますか。

新妻 主にポップアップ機能を活用させて頂きましたが、Appier経由と非経由のデータを見比べると、Appierの優位性は数値として明確に出ています。コンバージョン率が高く、ROASの観点でも満足できています。

斎藤 AI機能「迷い検知」は、ユーザーごとに最適化された情報を表示させることができ、購入を後押しする効果が認められます。購入を迷っているユーザーに「7%OFFでどうぞ」と、最適なタイミングでポップアップが表示されるので、ユーザビリティも向上しますし、ランディングページの回遊性も高まりました。平均滞在時間も伸びています。

ー Appierのサポートについての評価を教えてください。

新妻 Appierのレスポンスは非常に早いです。急な依頼にも迅速に対応してくれます。ギリギリのタイミングで施策をお願いすることが多いのですが、必ず間に合わせて対応してくれるので非常に助かっています。

斎藤 いろいろな提案をいただける点も高く評価しています。実績を基に改善提案や今後の施策についてのアドバイスをいただけるのは非常にありがたいです。ここまで提案をいただけるベンダーは珍しいのではないでしょうか。


ー 今年からはAppierのサービスの利用範囲をポップアップのみならず、SNS、LINEにも拡張されました。まだ数ヶ月しか経っていませんが、その狙い、実現したことを教えてください。

新妻 ここ数年でLINEの友だち数が増えました。今までは一斉配信を行っていたため、配信コストがかかる上に、本来その情報を必要としない人にも送られていました。もし、必要なお客様だけに必要な情報を伝えることができれば、配信にかかるコストを抑え、お客様も不要な情報を受け取らずに済むようになります。そこで、Appierが得意とするLINEの友だちの反応率を最適化する機能を活用することで、無駄な配信を減らすことができ、その成果も出ています。

斎藤 LINEの配信コストとブロック率を減少させられた点は大きなメリットです。お客様には必要な情報だけが届き、こちらも費用を抑えられるため、お互いにとって喜ばしい状況です。

― 最後に、Appierの導入を検討している企業様にメッセージをお願いします。

新妻 ECサイトのCVRを上げたい、顧客へ適切に情報提供したい、AIでマーケティングを最適化したい、といった課題を抱えている企業の担当者様は、Appierに相談してみてはいかがでしょうか。きっと、熱意をもった具体的な提案をもらえると思います。

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