2019年に創業したアパレルブランド「MAISON SPECIAL」は、ブランドの世界観を徹底して表現するため、ECを軸に独自の戦略を展開してきました。これまではメルマガや広告を活用しながら売上を伸ばしてきた同社ですが、次の一手としてLINEの活用に踏み切ります。そのパートナーとして選ばれたのがAppierの「BotBonnie」。今回は、EC事業を統括する福田氏と、マーケティングを担う望月氏に、導入の背景やツール選定の理由、活用による成果、そしてこれからの展望について詳しく伺いました。
― 「MAISON SPECIAL」がブランドとして大切にしていることを教えてください。
福田:僕たちが一番大切にしているのはクリエイティブの質です。商品だけでなく、サイトやSNS、採用ページなど、お客様がブランドに触れるすべてのタッチポイントで「MAISON SPECIALらしさ」を感じてもらえるように設計しています。たとえばスタッフのスナップも、スマホで撮ってただ載せるのではなく、承認制にして撮影しています。お客様に「スペシャルな体験」を届けたいという思いがあるんです。
― お二人のご経歴と担当業務について教えてください。
福田:私は、新卒で商社に入社後、セレクトショップで販売とEC業務を経験し、独立してEC支援に携わってきました。MAISON SPECIALには、創業後にECサイトを立ち上げるタイミングでジョインし、現在は自社ECと外部モールを含むオンラインストア全体を統括しています。
望月:私は、新卒でシステムエンジニアとしてキャリアをスタートし、その後アパレル業界で販売員やシステム領域にも携わってきました。その後、当社に入社してから、広告運用やCRM設計、LINE施策の企画など、デジタルマーケティング全般を担当しています。
― 2023年に自社ECサイトをShopifyへリニューアルした狙いは何でしょうか。
福田:モールは新規のお客様との出会い、自社ECはコアなブランドファンとの関係性を深める場所と考えています。そのため、「年商10億円を狙える基盤ができたら、自社ECサイトをより柔軟なプラットフォームに切り替える」という構想があり、そのタイミングがちょうど訪れたというのが背景です。アパレル業界はトレンドの移り変わりが早く、変化に迅速に対応できる柔軟性や開発スピードの面で、Shopifyは非常に適していると判断しました。
― BotBonnieを導入する以前は、どのような課題を感じていましたか。
福田:これまでは、メルマガと広告の2軸でマーケティングを展開していて、広告運用は外部のベンダーに任せていました。それでも順調に売上を伸ばしてきたのですが、事業が安定成長フェーズに入った今、これまでのように広く打つ施策だけでは限界があると感じ始めました。そこで、今後は一つひとつの施策の精度や質を高めていこうと、取り組みを見直すことにしました。
望月:メルマガについては、自分自身がメルマガをあまり見ないタイプで、「LINEのほうが届くよな」と感じていました。実際に、開封率やクリック率もLINEのほうが圧倒的に良いとわかってきたんです。スマホで通知が届くスピード感や、ユーザーとの距離感が違うんですよね。
― LINE運用には別のツールを使っていたのでしょうか。
望月:はい、BotBonnieを導入する前は、別のLINE向けのMAツールを使っていました。Cookieをもとにリタゲ配信ができるのは便利だったのですが、利用コストが高いうえに、シナリオの自由度が低く、できるのは「カゴ落ちフォロー」と「閲覧フォロー」の2パターンだけでした。それ以上の配信をしたい場合は追加開発が必要で、さらに費用がかかってしまうという課題がありました。そこにコストを投じるよりも、もっと柔軟に使えるツールを探したほうがいいと考えていたところ、BotBonnieに出会いました。
望月:現在僕たちは、あらためて新規の獲得に重きを置いています。新規獲得のための広告にも積極的に取り組んでいます。ただ、新規で獲得したお客様に継続して購入いただくためには、購入後の育成フェーズがとても大切です。LINEは、そのコミュニケーションのチャネルとして、非常に有効だと感じています。
― オンラインとオフラインをつなぐOMO施策への関心もあったのでしょうか。
福田:ブランド立ち上げ当初から、オフラインとオンラインを分けない考え方でやってきたので、OMOを「新しい取り組み」として意識したことはないんです。最初から会員情報やポイントを共通化して、どちらでも同じように買い物できる体験を提供しています。
望月:実際に、オフラインとオンラインの両方を使ってくださっているお客様のLTV(顧客生涯価値)は高い傾向があります。そういったデータもあって、両チャネルでの接触を増やすことは、ブランドへの愛着や購買頻度を高めるうえでも重要だと考えています。
― 他のツールからBotBonnieに切り替えた理由を教えてください。
望月:一番大きかったのは、ID連携をせずにCookieベースでパーソナライズされた配信が引き続き行えることに加えて、複数のシナリオ配信を柔軟に設計できる点です。以前使っていたツールでは、シナリオの自由度が低く、解決のためには追加のコストが必要でしたが、BotBonnieなら自分たちで自由にシナリオのパターンを増やしていけるので、運用の自由度がまったく違いました。
福田:以前使っていたツールに比べて、ランニングコストは約3分の1です。その分、他の施策に予算を回せますし、費用対効果の面でも非常に優れていると感じました。
― BotBonnieの導入はスムーズでしたか。
福田:はい、とてもスムーズでした。導入時には、BotBonnieの担当の方が僕たちのオフィスに来てくれて、短時間で基本的なシナリオを一気に構築してくれたんです。あのスピード感には正直驚きました。
望月:その後も、月1回の定例ミーティングで施策の振り返りを行ったり、チャットで運用に関する相談に乗ってもらったりと、迅速で継続的なサポートに満足しています。
― サポート対応で印象的だったことはありますか。
福田:ブランドの世界観を大切にしていることもあり、ビジュアル面の精度には特にこだわりがあります。あるとき、バナー画像のトリミングに不具合が出たのですが、すぐに対応してくれて、数日で修正が完了しました。そうした細部まで配慮した対応と、スピード感あるサポートには本当に助けられていますし、BotBonnieへの信頼感にもつながっています。
― BotBonnie導入後、どのような成果がありましたか。
福田:まず、ベーシックなシナリオを設定しただけでも、すぐに効果が出ました。LINE配信にかけた費用に対して売上が約4倍、つまりROASで400%の成果が出ています。導入初期の段階から、これほど効果が出るとは正直思っていませんでした。
― どのようなシナリオを設計したのでしょうか。
望月:たとえば「新作アイテムのページを閲覧したお客様」に対して、その後、新作が追加されたタイミングでLINEでお知らせする、というシナリオがあります。新作に興味がある人にピンポイントで配信できるので反応がいいですよね。
― セグメント配信が成果につながっているとお考えですか。
望月:そうですね。全体配信もできますが、BotBonnieでは細かくセグメントを切って配信できるので、ブロック率を抑えつつ、しっかり売上につながる配信ができています。さらに、LINEは配信量に応じた従量課金のため、アクティブユーザーが多い当社にとっては、必要な人にだけに配信ができるということは、コスト軽減という面でも非常に大きな意味を持ちます。効果を出しながら、不要な配信を減らせるのは、運用する側にとっても大きなメリットですね。
― 今後活用を予定している機能はありますか。
望月:コンバージョンを最適化する機能には期待しています。この機能では「クリックしやすい人」を自動で抽出して配信できるので、費用を抑えつつ効果をもっと高められると考えています。
さらに、今後はよりOne to Oneのコミュニケーションを実現していきたいと思っています。これまでメルマガなどで行ってきたような、ユーザーの行動や購入履歴に基づいたきめ細かな配信をLINEでも再現していきたいですね。
― 今後の目標について教えてください。
福田:今、ブランドとしては「成熟期」に入りつつあると感じています。これまでのように新規のお客様をどんどん取り込むだけでなく、既存のお客様にどう飽きさせず、魅力を提供し続けられるかが重要になってきました。商品やサービスの質をさらに磨き、ブランドとして進化していきたいと考えています。
望月:マーケティング施策は、基本的なシナリオをいくつか走らせている段階ですが、年内には配信パターンを倍以上に増やし、ユーザーの行動や属性に合わせたよりOne to Oneに近い施策を展開していきたいと考えています。LINE施策のKPIとしては、CPA(顧客獲得単価)をいかに抑えるかが最も重要な指標のひとつです。限られた予算の中で効果を最大化するためにも、今後はさらにセグメントの精度やシナリオ設計の最適化に取り組んでいきたいですね。
― 最後に、BotBonnieはどんな企業におすすめできるツールだと思いますか。
望月:LINE施策をこれから強化したいと考えているブランドや企業には、特におすすめです。ID連携しなくてもシナリオ配信ができるので導入のハードルが低いですし、サポートも手厚い。費用面で悩んでいる企業さんにも安心して勧められます。